バナナブレッドのプディング

以前COMIC CUEを買ったとき,よしもとよしともの作品に突然気になる台詞が
出てきた。それはそれまでの展開から全くはみ出たものだったが,思わず泣いてしまった。
脚注に大島弓子の「バナナブレッドのプディング」という作品からの引用だとわかった。
原作を探して読んでみた。
当時つきあっていた彼女と読んだ。
とても切なかった,人間はなんて矛盾した世界にすんでいるんだろうと思った。

ラストの台詞

おかあさん ゆうべ 夢を見ました

 まだ生まれてもいない赤ちゃんが 私にいうのです

 男に生まれたほうが生きやすいか
 女に生まれたほうが生きやすいかと

 わたしはどっちも同じように
 生きやすいということはないと答えると

 おなかにいるだけでも こんなに孤独なのに
 生まれてからは どうなるんでしょう
 生まれるのがこわい
 これ以上 ひとりぼっちはいやだ というのです

 わたしはいいました
「まあ生まれてきてごらんなさい」と
「最高に素晴らしいことが 待っているから」と

 朝おきて 考えてみました
 いったい わたしが答えた「最高の素晴らしさ」って
 なんなのだろう
 わたし自身もまだ お目にかかっていないのに

 ほんとうに なんなのでしょう
 わたしは自信たっぷりに
 子どもに答えていたんです