「凹村戦争」/西島大介読みました。

小松左京手塚治虫の往年のSFの設定を踏襲しつつも、
外と隔絶された村に墜落する飛来物に対して
「宇宙は見えるところまでしかない」という凹伴ハジメ。
言い換えれば、
世界は認識できる範囲でしかないという諦念に対して、
わずかながらの情報から世界認識を広げていく凹沢アル。
ニヒリズムだけではなく、世界をありのままに認識していく態度。
全てを受け入れていく、釈迦のような慈悲深さ。
その世界は、残酷で、愛おしくて、優しくて、面白くて、悲しい。
岡崎京子のリバースエッジから引用すれば(正確にはフィリップKディックか)、
「平坦な戦場で僕らが生きる事」
今日もテロで50人がアラブで死んだ。
宅間は死刑執行された。
世界中で赤ん坊が同時に400人くらい生まれる。多分。
世界は山野一の描く世界の様に(本当にそうなんだけど)。
僕らはそれでも生きていかなくてはならない。
世界にあふれるメタファーを理解して平坦な戦場で生き抜く術を身につけなくてはいけない。
終末はあっけなくやってきて、再生はあっけなく始まる。